活動紹介

インクルーシブ自転車を活用した介護予防教室(10月27日)

伊豆市では、2020 東京五輪の自転車競技で会場となった背景から、伊豆市のサイクルツーリズムのムーブメントが広まりつつある。今回のイベントでは、伊豆と自転車の繋がりを意識しつつ、地域の方にスポーツを楽しんでいただくと同時に、「介護予防」に結び付くというような内容で、イベントを企画した。
伊豆市では、どの地区でも高齢化が急速に進行している。それに伴い、ご近所付き合いの衰退や高齢者の運動不足などの地域課題が挙げられる。今回のイベントでは、これらの地域課題を解決すべく、高齢者同士の新たな繋がりの創出をテーマとし、高齢者の介護予防という名目でスポーツに親しんでいただき心身の健全を目指すことを目的とした。また、普段運動習慣のない方でもスポーツに関わっていただけるよう、マルシェを同時開催し、スポーツに関わりやすい環境の整備に努めた。そして、伊豆×自転車という認識の更なる普及、それに伴うスポーツを通じた地域の活性化を目的とした。
今回のイベントを企画した経緯は、昨年高齢者施設・障がい者施設・認定こども園の複合施設である、「ふらっと月ヶ瀬」で同じくインクルーシブ自転車を活用したイベントを行なった際に、高齢者の方が子供に遠慮してしまう姿が見られ、実際に「もっと乗りたかった」という声もいただいた。このことから、大人(高齢者)が遠慮せずに楽しめるイベントを行いたいと考えたことがきっかけとなり、今回のイベント実行に至った。
2024 年 10 月 27 日に中伊豆温泉病院のリハビリコースをお借りして、インクルーシブ自転車を活用した「介護予防教室」を開催した。参加者は、高齢者に絞らず全年代対象とし、多世代での交流を図った。イベントは、まず①自転車についての知識とその効果と身体の使い方を学び、次に②スポーツを楽しむ、そして③観光、結果的に④介護予防へと繋がるという流れで進行した。また、「大人だから」という認識に囚われず、「遊び」の感覚を取り戻してもらうことで、心身共に健康になることを目指した。
今回のイベントでは、観光にフォーカスした内容とインクルーシブ自転車のフォーカスした内容で分けてそれぞれのプログラムを考えた。

【プログラム内容詳細とイベント当日 】
(1)シンコースポーツ株式会社 木本愛郎 様、順天堂大学静岡病院リハビリテーション科 河原一剛 様による講習会
木本さん 15 分、河原さん 15 分の計 30 分間、健康についての介護予防講習会を行った。木本さんには、ご自身が作成されている「健やか大陸」を用いて介護予防に特化した講習、河原さんには自転車と介護予防の関わりについての講習を行っていただいた。イベント序盤に講習会を行い、身体について学んだ後実践に生かすという形で進めた。

(2)アイスブレイクタイム~伊豆半島ジオスポット紹介~
運動前のウォーミングアップを兼ねて、伊豆半島のジオスポットをそれぞれリハビリコースの中で一つのブースにし、各ブースで写真やパネルを用いて、学生がガイドを行った。ジオスポットは、筏場のわさび田・荒原の棚田・浄蓮の滝・萬城の滝の4か所を選定し、参加者の方にはブースからブースへの移動をインクルーシブ自転車で行っていただいた。大人数の自転車に乗って、ジオスポットを楽しみながら、交流を図っていただくことを目的とし、学生がジオスポットのガイドを担当し、伊豆半島のツーリズムの要素も交えながら観光にフォーカスした内容を行った。また、車両同士がぶつかってしまうことを防止するため、2 か所出発点を設け、2 コースに分かれて行った。

(3)お絵かき伝言ゲーム
イベント本内容では、インクルーシブ自転車でコースを走り、中継地点である「お絵描きスポット」で伝言ゲームを行った。参加者は、ご自身の健康状態と照らし合わせ、自分にベストなインクルーシブ自転車を選択し乗車できるよう設定した。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(4)マルシェ・測定・アンケート調査
イベントの最後には、マルシェと測定を行った。マルシェでは、K ショップさんとグラスパさんにご出店いただき、飲み物や軽食、お弁当の販売をしていただいた。同時進行で、シンコースポーツの測定器具(姿勢カルテ、インボディ)をお借りして、参加者の方に自分の健康状態を認識していただく機会とし
た。また、静岡大学 4 年内山遣都さんがインクルーシブ自転車乗車前と乗車後の心理状態の変化についてのアンケート調査も行い、その後は自由解散としイベントを閉幕した。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【まとめ】
今回のイベントは、当初は 9 月 29 日の開催を予定していたが、雨天のため中止となり、10 月 27 日の開催に変更になった。9 月 29 日の時点では、参加者は 1 名も集まっておらず、開催日が変更になってから関係者の皆様にもご尽力いただき、積極的に広報・宣伝活動を行い、約 30 名の方に参加していただくことが出来た。今回のイベントでは、集客へ取り掛かるまで時間がかかってしまったこととイベントの進行がスムーズに行えなかったことが反省点として挙げられる。イベントの進行については、少数の人しか詳しい情報や当日の動き方などを把握しきれておらず、上手く指示を出せていなかったことが原因で
あると感じる。今後は、綿密な打ち合わせを通して、情報共有をしっかり行うことが重要であると理解した。また、今回のイベントでは昨年の活動を参考に大人を対象として行ったが、家族連れの参加者も多く多世代間での交流も図ることが出来たため、イベントの目的であった「大人が遠慮せずにインクルーシブ自転車を楽しむ」ということが達成されたのではないかと感じる。