学環長挨拶

静岡大学 地域創造学環長
水 谷 洋 一

 地域創造学環は、「魅力的で持続可能な地域社会づくり」に貢献できる人材の育成を目的として、平成28年度に開設された全学教育プログラムです。
 カリキュラムの柱は、県内各地における「フィールドワーク」です。学生は、1年生後期から3年生の終わりまで、学内での「地域創造演習(ゼミ)」で地域課題解決の実践例や理論を学びつつ、自分で選んだ1つの地域(フィールド)に継続的に関わり、そこで自らの課題を見出し、地域の方々とともに考え、その解決策を模索していきます。同時に、静岡大学全体で開講されている授業科目の中から、自ら見出した課題の分析・考察に必要な科目を選び、履修していきます。そして4年次のゼミでは、卒業論文や卒業制作を通して、自らの学びと探求の成果を一つの形に仕上げます。このような課題志向型のカリキュラムが「地域創造学環」の特色であり、これまでの学部教育とは大きく異なる点です。
 ただ、こうしたカリキュラムは、大学、または教員だけで実施することはできません。県内の自治体や各種団体、地域企業やNPO、専門家や市民の方々のご支援と密接な連携があってはじめて実現できます。地域創造学環のカリキュラムは地域の様々な方々に支えられてはじめて成立するものだという点も、これまでの学部教育とは大きく異なってます。
 そういう特色ある地域創造学環の教員をしている中で、私がもっとも嬉しい瞬間は、「いまままで静岡大学は県内にあるのに遠い存在だったけど、フィールドワークや授業で学生たちと交流できて、最近身近に思えるようになってきた」という声を地域の方々からいただく時、そして、「私、この地域(フィールドワーク先など)が大好きになりました」「地域のために働きたい」という学生たちの声を聞く時です。大学・大学生と地域の方々との心が重なった瞬間です。地域の方々も学生たちも地域創造学環を通してそういう体験をたくさんしていけば、それは必ず「魅力的で持続可能な地域社会づくり」の大きな原動力になると信じています。

地域創造学環長 水谷洋一